消費者金融の過剰貸付けの基準について
過剰貸付けについての具体的な金額については、法律上は規定されていません。
なので、いくらからが過剰貸付けになるかどうかは、個々の利用者の返済能力から個別的に判断していくことになります。
貸金業規制法では、消費者金融などの貸金業者は、資金需要者である顧客や保証人になろうとする者の資力や信用、借入状況、返済計画等について調査し、その者の返済能力を超えると認められる貸付契約を締結しなければならないと規定しています。
ただ、この過剰貸付に違反する場合の罰則規定はありません。
なので、この規定は訓示規定であると考えられているのですが、実際に、過剰貸付違反の程度が著しい場合には、信義則、権利濫用という民法の一般条項を適用することになります。
裁判例でも、このような事例に民法の一般条項を適用して、貸金業者からの請求の一部を無効としたものがあります(釧路簡判平成6.3.16判例タイムズ842-89)。
ちなみに、金融庁事務ガイドラインでも一応の指針は示されていますが、消費者金融などの貸金業者がこれを形式的に採用したとしても、利用者が複数の業者から借金をした場合には、総額では返済能力を超えてしまいますので、結局、利用者の返済能力に応じて、個別の判断していくしかないことになります。 |