消費者金融の収入のない人への融資商品の販売の違法性について
消費者金融(サラ金)が定期的な収入のない主婦や学生、年金生活者へ融資することは、貸金業規制法の過剰貸付け等禁止の趣旨には反するといえますが、それが直ちに違法であることにはならないと思われます。
貸金業規制法の過剰貸付け等禁止について
貸金業規制法の過剰貸付け等禁止については、金融庁事務ガイドラインで次のように具体的に規定されています。
「窓口における簡易な審査のみによって、無担保、無保証で貸し付ける場合の目処は、当該資金需要者に対する1業者当たりの貸付けの金額について50万円、又は、当該資金需要者の年収額の10%に相当する金額とする」
このガイドラインによれば、定期的・具体的な収入のない主婦や学生などは、年収額の10%が貸付けの限度になると思われます。
収入のない主婦、学生、年金生活への融資の違法性
おそらくこれらの人への貸付けは、金額自体は小さいものになると思われます。
しかしながら、金額はどうであれ、収入のない人を対象にした融資商品というのは、貸金業規制法の過剰貸付け等禁止の趣旨に反することになると思われます。
また、だからといって、これがすぐに違法になるかといえばそうでもありません。
なぜなら、貸金業規制法の過剰貸付け等禁止では、貸付限度額について具体的な金額や、違反した場合の罰則なども規定されてなく訓示規定とされているからです。
とはいえ、貸金業規制法の過剰貸付け等禁止に違反する過剰貸付けを行った事例で、民法の一般原則である信義則や権利濫用の法理に照らして、その全部または一部が無効になる余地があるとした裁判例もあります(大宮簡判平成14.10.31判例タイムズ1124-192)。 |